赤外線カメラ搭載ドローンによる熊の農作物被害対策の検証【後編】

本記事は後編です。まずは前編をお読みください。
前編はこちら

9月に入り、お客様から「デントコーンが栽培時期になり、熊の活動が活発化して食害が出てしまった」と連絡があったので、赤外線カメラ搭載ドローン「DJI Mavic 3 Thermal」などの機材をもってシステムファイブのスタッフが、再度現地に伺いました。

 

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デントコーン畑の熊による食害

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大きなデントコーン畑。ドローンで撮影した画像を見ると赤枠のように所々に穴が開いています。これは熊が食べてしまった所です。かなり多くの穴が確認ができました。

 

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▲デントコーンが食べられてしまった跡のズーム画像

 

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電気柵を立てて熊が中に入らないように対策を講じていますが、なかなか食い止められないのが現状です。
熊は、弱点である鼻以外が電気柵に当たっても痛みを感じないとのことで、鼻に当たらなければ電気柵に対して恐怖に感じないそうです。

 

赤外線カメラモードで熊を発見

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赤外線カメラで偵察していたところ、高温の場所が目につきました。何だろうと思い、送信機を2画面表示にしました。

 

すると、熊がデントコーンを食べているところを発見しました。

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色パレットを「Tint」に設定し、高温部分が赤色になる設定しました。かなり熊だけが分かりやすく映るようになりました。

 

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この撮影後、30mほどまで高度を下げましたが、気づかずに食べ続けていました。
「DJI Mavic 3 Thermal」の機体が小さいので、ドローンに気付かなかったのかもしれません。

 

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その後熊が立ち上がり移動を始めました。流石にデントコーン畑の中に入ると可視光でのズーム画面では熊をはっきりと認識できません。

しかし、熱源を感知できる赤外線カメラであれば、どのように熊が移動しているのか分かりました。これで熊を見失わずに偵察できます。

 

バッテリー切れの時に役に立つピンポイント機能

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熊の偵察中にバッテリーが切れそうになってしまいました。
そんなときに役に立つのが「ピンポイント機能」です。ピンポイントを打つと、飛行画面上とマップ画面上でピンが常時表示されます。

ピンポイントは飛行画面の左上のひし形のマークを押すと、簡単に打つことができます。

 

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ローバッテリーRTHで離陸場所に着陸させる前にピンポイントを使うことで、バッテリー交換した後に再度同じ所に戻りやすくなります。

 

スピーカーで警告音、少しだけ反応

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DJI Mavic 3 Enterprise Series PART 02-Speaker」を用いて、実際に警告音を鳴らしたらどのようになるのかを確認しました。

約15mまで高度を落として鳴らしてみると、熊が歩く(逃げる)スピードが少し上がった程度でした。
熊の個体により反応が変わるかもしれません。

 

ハイエンドモデル「DJI Matrice 350 RTK+DJI Zenmuse H30T」での撮影も

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今回ハイエンドモデルの「DJI Zenmuse H30T」を使用して赤外線カメラで撮影も行いました。

 

下の画像は「DJI Zenmuse H30T」と「DJI Mavic 3 Thermal」の赤外線画像です。

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▲DJI Zenmuse H30T(1280×1024)

 

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▲DJI Mavic 3 Thermal(640×512)

 

「DJI Mavic 3 Thermal」が赤外線カメラの画像解像度 640×512に対し、「DJI Zenmuse H30T」で撮影したデータは1280×1024なので、画素数は4倍近く差があります。そのため、「DJI Zenmuse H30T」の画像の方が鮮明に映るので、素早く動くものも簡単に確認できそうです。

ただし「DJI Zenmuse H30T」のカメラは「DJI Matrice 350 RTK」という大きなドローンを使うのでどうしても羽音が大きくなり、生態調査は難しそうと判断し、現場では「DJI Mavic 3 Thermal」に切り替えました。
(逆に熊を追い払いたい際は大きなドローンの方が有効です。)

外壁点検や災害救助などで使用する場合は、やはり「DJI Matrice 350 RTK+DJI Zenmuse H30T」の方がスペックが高いのでおすすめです。

 

DJI FlightHub 2も活用

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実際に「DJI Zenmuse H30T」や「DJI Mavic 3 Thermal」のカメラ映像をブラウザ上で確認できました。

この使い方ならテレビや大きなモニター・電源を外部で用意する必要がなく、ノートPCと通信環境さえ整えれば、いつでもパイロット以外の方が飛行画面を確認できます。
※送信機でもWi-Fiに繋いで、DJI FlightHub 2にログインすることが必要となります。

 

実際に赤外線カメラで熊を見つけだし、熊の生態調査を行う事が出来ました。
今後の食害について対策を練られるとの事で、株式会社秋田スカイテック様とエンドユーザー様には非常に喜んでいただきました。


 
 

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