DJI Zenmuse H30シリーズ機能「送電線フォロー機能」の使い方

2026年5月28日のMatrice 400のファームウェアアップデートで、DJIの点検向け産業用カメラ「Zenmuse H30シリーズ」に新しく「送電線フォロー機能」が追加されました。Zenmuse H30とH30Tのどちらでも使用可能な機能となっています。
本記事では、インフラ点検の業務に携わる方必見の機能「送電線フォロー機能」について、実際の検証データをもとにした操作手順や設定のコツを解説します。
1. Zenmuse H30シリーズのスペック
DJIの点検用産業用カメラ「Zenmuse H30シリーズ」は、あらゆる環境に対応できる圧倒的な基本性能を備えています。
主なスペックと機能特徴
| 搭載センサー | 広角カメラ、ズームカメラ、レーザー距離計、補助ライト(H30Tはさらにサーマルカメラを搭載) |
| ズーム性能 |
■可視光カメラ ■赤外線カメラ(Zenmuse H30Tのみ) |
| 夜間撮影 | フルカラーナイトビューに対応。低照度環境でも鮮明な映像を捉えます |
| 防塵防水性能 | IP54の保護等級を誇り、-20℃から50℃の過酷な環境下でも動作可能 |
この高いハードウェア精度と、機体に搭載されたLiDARによる検知技術が融合したことで、今回ご紹介する「送電線フォロー機能」が実現しました。
2. 従来の送電線点検における課題とリスク
これまでのドローンを用いた送電線点検では、以下のような課題やリスクが現場の負担となっていました。
従来点検の3大課題
- 操縦難易度の高さ: たわみのある送電線に対し、一定の距離を保ちながら並行に手動飛行させるには、操縦者の熟練した技術が必要でした。
- 接触リスク: 目視や通常のカメラ映像だけでは距離感が掴みにくく、電線への接触リスクが常に付きまといます。
- データの不均一性: 操縦者のスキルや感覚によって、撮影されたデータの角度やズーム倍率にバラつきが生じやすく、再現性の高いデータ管理が困難でした。
3. 送電線フォロー機能の使い方と検証結果
送電線フォロー機能は、Matrice 400に搭載されたLiDARが送電線を自動認識し、一定の離隔とカメラ角度を維持しながら自動追従飛行を強力に支援する先進的な機能です。(実際の送信機画面での挙動とスムーズな追従飛行を動画でご覧ください)
簡単3ステップ!操作手順と飛行挙動
実際の検証をもとに、設定手順のポイントと飛行時の挙動を解説します。
ドローンを飛行させ、まずはLiDAR障害物検知センサーにより送電線を検知します。
※送電線フォロー機能はLiDAR障害物検知センサーで検知できている送電線を追従するため、実行前にLiDARキャリブレーションを行うことを推奨します。

次に送電線までの離隔距離(5m~10mの間)と、カメラのピッチ角度(0度〜35度)を決定します。カメラピッチは真横(0度)、または下から斜め上(最大35度)に向けて送電線をしっかりと捉えられるよう調整可能です。
■調整できるパラメータ
|
離隔距離 |
5mから10m |
| カメラピッチ角 |
0度から35度 |
※カメラピッチ角について手動にて0度から35度までの制御可能です。それ以外の角度には動かせないようになっております。
機体に近い送電線を自動選択するため、撮影を行いたい送電線の近くに機体を移動させて、左右どちらに進むか進行方向を決定します。D5ボタンでも移動方向を選択することが可能です。

最後にズーム比率、検査速度、カメラパラメータを設定して、撮影を開始します。
カメラパラメータの調整がきれいに撮影するためのポイントとなります。
※撮影できる画像はズームカメラのみです。

なお、写真のオーバーラップ率は15%をキープするように設計されており、撮影時間の間隔はシステム側で自動設定されます。
-
1 高倍率ズームでの撮影の場合、シャッタースピードとISOに気を付ける
ズーム倍率を上げるほどブレやすくなります。
シャッタースピードを確認し、映像が暗い場合はISO感度を調整して明るさを補うのがポイントです。 -
2 ピント(フォーカス)を「MF」で固定する
最初に「オート(AF)」もしくはマニュアルでピントを合わせた後、必ずマニュアル(MF)に切り替えて固定することを推奨します。AFのままだと、カメラが真下(-90°)を向いてピント調整を行い、ピンボケ写真になる可能性があります。
-
3 検査速度(飛行速度)は1m/sの低速に抑える
フライト速度が速すぎるとシャッター間隔が追いつかず、規定のオーバーラップ率(15%)を満たした重複写真が撮影できない可能性があります。1m/sの低速で撮影を推奨します。。
【飛行中のポイント】
自動追従中は、操縦スティックを触っても追従自体に影響はなく、操作が無効化されるため、間違えてスティックを動かしてしまったなど、手動操作によるブレが生じません。また、ジンバルヨーは0度のまま固定されて調整不可となり、ジンバルピッチについても動かす設定をしていなければ固定されます。スティックによる微調整が一切不要なため、安定した点検映像を記録できます。
■実際のフォローの様子(アルミ線)
■撮影画像例

離隔距離:5m ピッチ角:20° 倍率:20倍 検査速度:1m/s シャッター速度:1/2500 ISO感度:1630 写真間隔:0.3 前後ラップ率15%
※倍率を高くすると、画角から送電線が外れやすくなる可能性がございます。
⚠️ 電線の種類による検知性能(環境条件)
今回の検証フィールドは小雨が降る悪条件の中でしたが、電線の種類によって以下のような違いが見られました。
- アルミ線(直径10.5mm): 小雨が降る環境でも、問題なくしっかりと自動検知・追従ができました。
-
黒い被覆(ひふく)線: 黒い被覆がある電線に関しては、LiDARでの検知が不安定になり、検知できたりできなかったりする挙動が見られました。対象の電線仕様には注意が必要です。

※黒い被覆線はLiDAR障害物検知センサーでは送電線として検知ができませんでした。
4. まとめ
Zenmuse H30シリーズの「送電線フォロー機能」は、これまでの現場の常識を大きく変える力を秘めています。
本機能がもたらす導入メリット
- 安全性の圧倒的な向上: 離隔距離が自動で維持されるため、電線への異常接近や接触リスクを極限まで低減します。
- データの均質化と品質向上: LiDARで検知していれば、送電線の急なたわみにも機体がしっかりと自動追従するため、撮影画像の均一性とクオリティが担保されます。
- 業務の効率化: 手動での複雑な微調整やスティック操作が不要になるため、操縦者の負担を減らし、現場での業務を大幅に効率化できます。
安全かつ高効率なインフラ点検を実現するZenmuse H30シリーズ。
より効率的な送電線の点検を求めるユーザーには刺さる機能なのではないでしょうか。
製品について気になる方はぜひ、弊社までご相談ください!
「もう少し商品について知りたい!」
「自分の業務にもドローンを活用できる?」
どんなご相談でも構いません!お気軽に下記のフォームにてお問い合わせください!
導入のご提案やお見積は、貴社の所在地に近い販売代理店より改めてご連絡します。