Matrice400検証速報レポート~Matrice 400で可能となる測量方法~
2025年7月、新潟県村上市にて、DJIの最新産業用ドローン「DJI Matrice 400」を使用した精度検証を2025年5月に行われた試作機版の性能検証に引き続き行いました。
本記事では、金井度量衡株式会社様にご協力いただいた検証の内容をご紹介します。前回の検証を元にして、さらにMatrice 400の機能について深堀りしていきます。
前回の記事はこちらからご確認ください。
▶次世代産業用ドローン「DJI Matrice 400」登場!Matrice 350 RTKとの比較検証速報レポート
※今回の検証につきましては、Matrice 400を使用し、2025年7月4日までの暫定での検証となりますので、ご注意ください。
※ 2025年7月25日(金)の「メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2025」のDJI JAPAN株式会社様のブース内で行われた発表資料を元に記事の作成を行っております。
※記事作成において、発表時の表現と少し異なることもございますがご了承ください。
※検証内容の結果は今回の環境における計画、設定、解析等によるものです。
精度を保証するものではありませんのでご注意ください。
検証の目的と概要
今回の検証の目的は、Matrice 400の写真測量・レーザー測量を行った際の精度評価になります。
以下の2つの観点で評価いたしました。
1. Zenmuse L2を使用した「低高度」「高精度」レーザー測量
2. Zenmuse P1を使用した「PPP」(高精度単独測位)を用いた簡易測量
検証機のスペック
最新機体であるMatrice 400を使用して検証いたしました。
ペイロード6kgと障害物検知センサーの種類が増えていることによる安全性の向上が魅力となっております。
検証場所
株式会社日本建機様、株式会社北越測量様にご協力いただいて管理地内にて検証を行いました。
盛土材を取得する採土場で検証していきます。
■標定点・検証点設置図
■測量範囲全体図
※面積:4.44ha
※Zenmuse P1での測量範囲になります。
1. Zenmuse L2を使用した「低高度」「高精度」レーザー測量
■検証内容
Matirce400はリアルタイム地形フォローの計測が可能となりますので、DSMやDEMデータを読み込む手間がなく、一定の離隔を保ち、低高度で飛行できることにより高精度なデータの取得が可能となりました。
レーザーの特徴として計測対象物から距離が離れるとビームスポット径が大きくなり取得できる点群データの精度や確度がばらつく傾向にあります。高高度で飛行することで障害物を避け安全性が確保できるとともに、広範囲を測量することができますが、点群が厚くなる傾向にあるため、安全性・効率・精度がトレードオフの関係にありました。
そのため今までは安全性と精度を両立するために、現地DSMを作成後、本番の飛行を行うというひと手間を加えて飛行させる方もいらしたと思いますが、Matrice400はリアルタイム地形フォローの機能がついており、DSM作成を省くことができ、より効率的に飛行することができるようになりました。加えて、低高度の飛行により飛行時間(コース)が増加しても、長時間飛行が可能なためたフライト数が著しく増えることはありません。この検証では高度差による精度差がどのように出るのか検証いたします。
■検証計画
■検証結果
※1 公共測量作業規程の準則 地図レベル500の要件を満たす計画としています。
※2 GNSS1級スタティック基準点測量を根拠にTS測量で座標を決定しています。
※3 追従する地形の状況(高低差等)により速度が遅くなる箇所があります。
自動航行時のリアルタイム地形フォロー80mと30mで飛行させた結果を確認してみると低高度のデータで特にΔHの較差が少ないことがわかります。手動によるリアルタイム地形フォローでも水平精度、標高精度どちらも問題ない精度になっているのが結果から理解できるかと思います。この手動リアルタイム地形フォローは対地高度を設定すれば高さ以外の舵を自由に操作し速度を変化させながら飛行させることが可能なため、ジンバル型レーザースキャナーのZenmuse L2との組み合わせで、災害等で局所的な測量が必要な場合には有用です。
断面上で確認しても点群の厚みの違いが確認できます。
■リアルタイム地形フォローの画像
リアルタイム地形フォローでは右下に表示されています赤枠内で地形を確認できます。
リアルタイム地形フォローを使用することで精度が良い点群データを取得できるだけでなく、植生の多い場所において、より地面の取得ができるようになることが期待できます。
2. Zenmuse P1による「PPP」(高精度単独測位)を用いた簡易測量
災害時などの緊急時に精度があまり重要にならないようなユースケースを想定して、PPPによる写真測量がどのくらいの精度になるのか検証しました。D-RTK3を用いてPPK処理と標定点で精度を向上させたデータとPPPで処理をしたデータを比較していきます。
■計画
■結果
※1 出来形管理要領を満たす計画としています。
※2 GNSS1級スタティック基準点測量を根拠にTS測量で座標を決定しています
※3 追従する地形の状況(高低差等)により速度が遅くなる箇所があります。
結果を確認するPPPで取得した写真から作成したデータの較差は検証点と比較すると約20cmほどの誤差になっています。精度が求められない緊急時での計測であれば十分に使用できる結果なのではないでしょうか。
まとめ
今回の検証にてZenmuse L2によるレーザー計測ではリアルタイム地形フォローで実現できる低高度・高精度な計測により、点群精度の向上が見られ、Zenmuse P1によるPPPを用いた写真測量では、災害時などの迅速性が求められる場面で有効な手法となる可能性が示されました。さらに、Matrice 400は長時間飛行が可能であることから、より広範囲なエリアの計測や長時間の作業にも対応できます。Matrice 400は計測手法の柔軟性を高められる機体であり、いろいろな環境での業務に対応できるのではないかと思います。
お問い合わせ先金井度量衡株式会社(GeometrixEnterprise) DJI正規代理店/DRONE CAMP ENTERPRISE※詳細資料請求・デモ依頼なども受付中 |
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