【スタッフレビュー】DJI Delivery 新製品 DJI FlyCart 100

ドローントップシェアを誇るDJIから「DJI FlyCart 100」が発表されました。
高重量運搬を行う建築業界や電力業界を始め、人が持っていくには過酷な環境への物資輸送の新たな課題解決方法として本製品を使えます。
この記事ではシステムファイブのスタッフによる新機能や従来製品との比較をした記事となります。
※製品発売前に作成した物であり、記事内容に変更及び修正が生じる場合がございます。ご了承ください。
主な特長

DJI FlyCart 100は、最大80kgの重貨物を高速かつ安全に輸送できる、デリバリードローンの新たな基準となるモデルとなります。
圧倒的な飛行性能に加え、寒冷地・山岳地帯・強風下・高高度といった過酷な環境でも安定した運用が可能で、従来の運搬手段では対応が難しかったエリアにも確実に物資を届けます。
2種類の運搬システム
用途に応じて選べる2種類の運搬システムを備えていることも、大きな特長のひとつです。標準的な吊り下げ運搬に適した通常モデルに加え、ウインチを搭載したフラグシップウィンチシステムでは、遠隔操作での高度なリリース作業や空中投下に対応しています。
ウインチを伸ばした状態での離陸も可能になり、現場の状況に合わせた柔軟な運搬オペレーションを実現します。
地形追従飛行機能
また、地形の高低差を自動で追従する「地形追従飛行機能」を搭載することで、操縦者の負担を軽減しつつ、安全で効率的な輸送をサポートします。
安全性
安全性においても、DJI FlyCart 100はトップクラスの性能を誇ります。LiDAR・ミリ波レーダー・五方向魚眼ビジョンなどによる全方位センサーに加え、AR補助表示による状況把握、さらにパラシュート(別売)を組み合わせることで、万が一の際に被害を最小限に抑えることができます。
操作面
操作面では、「O4映像転送システム」による高信頼な映像伝送と、専用アプリを搭載した 「DJI RC Plus 2送信機」により、優れた操作性と遠隔運用性を両立。
初心者でも扱いやすく、プロフェッショナルの現場でも安心して使用できる操作環境を提供します。
2種類の充電器に対応
さらに、運用環境に合わせて選択できる2種類の充電器(C10000 / C12000)に対応。一般的な100V電源で使用できるモデルから、10分台での急速充電を可能にする高電圧モデルまで、現場の設備に応じた柔軟な運用が可能です。
ここから各性能について詳しく解説します。
DJI FlyCart 100の基本スペック
| 【NEW】DJI FlyCart 100 | DJI FlyCart 30 | |
| サイズ(機体展開時) | 3220×3224×975mm | 2800×3085×947mm |
| 最大離陸重量 | 149.9kg | 95kg |
| 最大積載量 |
デュアルバッテリー:65kg シングルバッテリー:80kg |
デュアルバッテリー:30kg シングルバッテリー:40kg |
| 最大飛行距離(満載時) |
デュアルバッテリー:12km シングルバッテリー:6km |
デュアルバッテリー:16km シングルバッテリー:8km |
| 最大飛行時間(満載時) |
デュアルバッテリー:14分 シングルバッテリー:7分 |
デュアルバッテリー:18分 シングルバッテリー:9分 |
| 障害物検知システム |
前方/後方/下方ミリ波レーダー +レーザーLiDAR+五方向魚眼ビジョンシステム |
前方/後方ミリ波レーダー 双眼ビジョンセンサー |
| 動作環境温度 | -20℃~40℃ | -20℃~45℃ |
| 信号有効距離 | 10km | 8km |
| パラシュート開傘高度 | 100m | 60m |
| 安全機能 |
リアルタイムLiDAR点群表示対応 |
AR補助表示対応 |
特長
- 圧倒的な運搬能力と飛行性能、最大80kgの重貨物を高速かつ安全に輸送
- 過酷な環境(寒冷地・山岳・強風・高高度)でも運用可能
- フラグシップウィンチシステム(ウインチモデル)とデュアルバッテリーリフティングシステム(通常モデル)の2種類の運搬システムを用途に合わせて選択可能
- フラグシップウィンチシステムで高度なリリース作業や空中投下に対応
- 全方位センサー・AR・パラシュートによる圧倒的な安全性(パラシュート別売)
- 操作性、またより遠隔操作可能にした【O4映像転送システム】、専用アプリを搭載した、DJI RC Plus 2 送信機
- 充電環境に合わせて選べる2種類の充電器
- 地形追従飛行による操縦者負担軽減 ※自動航行は対応していません。
機体安全性能
DJI FlyCart 100は、過酷な現場でも安心して運用できるよう、機体・貨物・操縦者・作業者を多層的に守る高度なセーフティシステムを搭載しています。複数のセンサーによる環境認識、AR技術を用いた視覚サポート、そして万が一の状況に備えたパラシュートシステムまで、あらゆる角度から安全性を徹底的に強化しています。
多センサー統合システム
(レーザーLiDAR・五方向魚眼ビジョン・前方/後方/下方ミリ波レーダー)
レーザーLiDAR、五方向魚眼ビジョン、前後下のミリ波レーダーを組み合わせた多方向センサーにより、周囲の環境を正確に把握。高度な障害物回避アルゴリズムと連携し、「機体」と「吊り下げ貨物」の両方を同時に保護 します。複雑な地形や障害物の多い環境でも、安全性と安定性を損なうことなく飛行が可能です。
■レーザーLiDAR
■AR補助表示
(人・車両可視化、着陸位置ガイド)
AR技術により、離着陸時の人や車両をわかりやすく表示し、操縦者の視認性を向上。また、帰還時には安全に着陸できる位置をAR投影でガイドするため、夜間や視界不良の状況でも確実な着陸操作をサポートします。

■強化された夜間飛行
前方に遠/近ライトと下方補助ライトを新搭載し、FPVの角度や位置に応じて遠/近ライトが自動で調整されます。
夜間の輸送作業も安心して対応可能です。
■ パラシュートシステム
(※別売・任意/メーカー推奨)
万が一のトラブルに備え、 DJI FlyCart 100は専用パラシュートシステム(別売)に対応しています。
※メーカーとしても安全性向上のため装着を推奨しています。
パラシュートは以下の特長を備えています:
-
低高度(100m)からでも展開可能で、安全な降下を実現
-
メイン電源が断たれても独立電源で1時間以上稼働
-
最大離陸重量時でも接地速度を6m/sまで軽減
-
手動/飛行制御連動/独立制御の3方式で展開が可能
-
展開時にはLEDと音声による警告を発信
-
最新10回分のフライトデータをパラシュート側に自動保存
これらの機能により、想定外のトラブル発生時にも機体・周囲の人・財産へのリスクを最小限に抑えることができます。
■2種類の運搬システム
(別売・用途に合わせて選択可能)
多様な現場に対応するため 2つの運搬システムを別売で選択可能です。

1. デュアルバッテリーリフティングシステム(標準モデル)
効率性と経済性を両立したモデル。
以下の機能により、安定した輸送が可能です。
主な機能
-
リアルタイム計量(過積載防止)
-
自動揺れ抑制
-
ワンタッチロープカット機能による安全脱出
-
10mのケーブルにフックが付属しており、基本輸送、インフラ保守の現場などで最適な選択肢です。
2. フラッグシップウインチシステム(ウインチモデル)
高度な現場で求められる柔軟性と安全性を備えた、上位モデル

主な機能
-
電動アクティブフック(遠隔リリース対応)
-
手元を照らすライト搭載(夜間作業に対応)
-
フック側のボタン操作で開閉可能(積載・荷卸しが容易)
-
空中での正確な切り離し投下が可能(物件投下)
-
内蔵30mロープ、最大1.2m/sの高速ウインチ
-
ワイヤレス充電
フラッグシップウインチシステム(ウインチモデル)は電動切り離し機能、手元を照らすライトが追加され、 今までできなかった、
「遠隔でのリリースが可能」
「空中で切り離して物件投下」
「 無負荷時にフックが外れない」
という問題も解決されています。
フック側でもボタン操作で開閉操作することが可能です。
電動アクティブフック自体は、フックが所定位置にあるとき、飛行しながら自動でワイヤレス充電できるため、バッテリー切れの心配がありません。
Type-C充電にも対応しており、満充電から稼働時間が10時間と非常に長く、長時間の作業に対応しています。
また、DJI FlyCart 30ではできなかった、ウインチを伸ばした状態でも離陸可能となり、より現場に合わせた臨機応変な運搬を実現します。
送信機
DJI RC Plus 2は、DJI FlyCart 100の運用に最適化されたデリバリー専用送信機です。
高輝度ディスプレイ、優れた耐環境性能、長時間駆動、そして最新のO4映像転送システムによる安定した通信を備え、過酷な現場でも確実で快適な操作を実現します。
- 1400ニット高輝度ディスプレイ
- 過酷環境にも耐える堅牢設計(IP54/−20〜50℃)
- O4映像転送システムによる、高品質な映像転送
- 安定した操作感とカスタマイズ性
- 長時間運用を支えるデュアルバッテリー
- 2パイロット機能(別売)
■専用アプリ「DJI Delivery App」搭載
送信機にはDJI Delivery Appを標準搭載しており、
-
AR積み降ろしポイント表示
-
ウインチ操作
-
積み下ろしガイド
-
機体ステータス管理
DJI FlyCart 100の運用に必要な機能を一括で操作できます。
現場でのワークフローが大幅に効率化され、迷うことなく安全にオペレーションできます。
左:DJI FlyCart 100 右:DJI FlyCart 30
O4映像転送システムによる、高品質な映像転送で同条件下でも安定した画像転送が可能です。
バッテリー
DB2160 インテリジェントライトバッテリー端子比較
| ▼DJI FlyCart 100 | ▼DJI FlyCart 30 |
![]() |
![]() |
別売りの「DB2160 Battery Incubator(21L)」を活用すれば、寒冷地でも暖気するバッテリーを使用できます。
夏場、また高負荷での使用直後や高温下ですぐに充電したい場合など オプションの「DB2160 空冷ヒートシンク」を活用することで、別電源を使用することなく、効率的にバッテリーを冷却しながら充電でき、運用効率が向上します。※冷却されるバッテリーは1本です。
充電器
運用環境に応じて C10000 または C12000 の充電器を選択できます。※別売
■ C10000 インテリジェント充電器
同電圧入力で100Vまたは240Vを2口(二本)接続が可能、一般現場でも導入しやすいモデル。

AC入力
- 単相 220~240V:24A MAX
- 単相 100~120V:16A MAX
特長
一般的な100Vに対応することで、設備投資など抑えられます。
また200Vを2本入力すれば、より高速充電に充電可能です。
※FlyCart 30で使用していたC8000のACケーブルを接続できる「変換アダプター」が同梱されております。
※DB2160バッテリーへ接続する場合は「DB2100 Intelligent Flight Battery adapter cable」が別途必要です。
※同梱されているケーブルはボルト数に合わせたコンセントに変更する必要があるため、コンセントは付属しておりません。ボルト数に合わせたコンセントを別途ご購入の上、ご自身で作製ください。
■ C12000 高電圧対応モデル(高速充電)
高圧電源環境で最大性能を発揮する、ハイエンド急速充電モデル。
AC入力
- 三相 175~520V:22A MAX 出力最大12000W(高速充電)
- 単相 200〜264V:16A MAX 出力最大3000W(低速充電)
特長
高圧電源が整っている環境下では最大12000Wで、充電時間で十数分の高速充電が可能なモデルです。
※同梱されているケーブルはボルト数に合わせたコンセントに変更する必要があるため、コンセントは付属しておりません。
ボルト数に合わせたコンセントを別途ご購入の上、ご自身で作製ください。
実際の飛行
DJI FlyCart 100に最大積載量まで荷物を積み、実際に飛行テストを行いました。
■自動揺れ抑制機能
運搬作業中には、 DJI FlyCart 30から継承された「自動揺れ抑制機能」が大きく貢献します。積載した貨物が大きく揺れる場面でも、機体が貨物の揺れに合わせて姿勢を自動調整し、揺れを素早く収束。重貨物輸送でありがちな振れ幅による危険性を大幅に低減し、安定した輸送を実現します。
■五方向魚眼ビジョンシステム
DJI FlyCart 100に新たに搭載された「五方向魚眼ビジョンシステム」も非常に優秀です。FPVカメラを上下させる際、従来機のように物理的にカメラが動くのではなく、複数の視界をシームレスに合成しているため、視点変更時の違和感がほとんどありません。画像は非常に滑らかで見やすく、操縦者の視認性が飛躍的に向上しています。
■LiDAR機能
さらに今回、DJI FlyCart 100では「LiDAR機能」が追加され、生成される点群データによって、暗所や電線など肉眼で視認しづらい障害物も把握しやすくなりました。点群データは機体再起動でリセットされるため、状況に応じて管理しやすい設計です。
■AR補助表示機能
また、「AR補助表示機能」によって、周囲の人や車両が視覚的に表示されるため、安全確認がより直感的に行えるようになりました。視認性の悪い環境でも、安全な飛行を強力にサポートします。
■2種類の運搬システムについて
今回フラッグシップウインチシステム(ウインチモデル)とデュアルバッテリーリフティングシステム(標準モデル)の2種類の運搬システムを用途に合わせて選択可能となり、 両モデルともリアルタイム計量計が搭載されています。
通常モデルはウインチ機能はありませんが、安価で物理的なリリースが可能なフックを使用することで、 効率的に物資輸送が可能です。
一番の注目点として、ウインチモデルは送信機側から遠隔でのリリースが可能で、空中で切り離し物件投下や、 無負荷時にフックが外れないという問題も解決されています。
フック側のボタン操作で開閉操作ができるため、荷卸しや積載側で間違えフックに引っ掛けてしまったシーンでも、送信機側の操作なく、開閉使用する事が可能です。
夜間や谷間など暗い場所でもフック自体に搭載されたライトが自動、または手動で点灯可能で、 安全にそして確実にフックに引っ掛けることが可能です。
■DJI RC Plus 2送信機
DJI RC Plus 2送信機を追加することで、積載地点と荷卸し地点で役割を分担した運用も可能になります。特に長距離飛行では、安全性と作業効率が大幅に向上します。さらにAB地点モードが追加され、簡易的な自動航行による自動荷卸しも実現。DJI FlyCart 100の運搬タスクは、より確実でスムーズになりました。
■結果
機体は力強い上昇力を発揮し、最大積載時でも余裕を感じさせる安定した飛行性能を確認できました。送信機にはリアルタイム計量が表示されるため、現在の積載重量を正確に把握でき、積載状況を常に安全に管理できます。
システムファイブは全国の販売代理店ネットワークを通じ、高い専門知識に基づくサポートを提供しています。
運用環境や導入目的に合わせた最適なご提案が可能ですので、導入を検討されている方はぜひお気軽にお問い合わせください。お近くの販売代理店をご案内させていただきます。

