【検証】DJI Dock 3+Matrice 4TD 「密漁監視の最前線:DJI Dock 3が実現する自動運行システム」

今回、三重県漁業協同組合連合会様および各漁業協同組合様のご協力のもと、ほめちぎるドローン教習所(株式会社TDGホールディングス)と共に、密漁監視の効率化と省力化を目的とした実証実験を実施しました。

本実験では、「DJI Dock 3・Matrice 4TD」を使用し、実際の密漁監視を想定した自動飛行ルートを運用・検証しました。

 

はじめに:ドローンによる密漁監視の現状と課題

現在、三重県の漁業者は、資源管理と放流を続け「桑名産ハマグリ」のブランドを築いてきました。
しかし、その高い価値ゆえに密漁が後を絶たず、深刻な課題となっています。

漁協・漁業者による監視活動を実施していますが、漁業者の減少や高齢化による人手不足等の問題で限界がありました。

従来のDJIドローン(Mavic 3 Thermal)も一部地域で導入が進んでいますが、防水性手動飛行の制約から効率化省人化が求められていました。

DJI Dock 3とMatrice 4TD

今回の実験に使用したのは「DJI Dock 3」「Matrice 4TD」
このシステムは、従来のドローン監視でネックとなっていた点を大幅に改善します。

  • 全天候型対応:防水・防塵性能により雨天時も運用可能

  • 自動運用:所定ルートの自動飛行、ドックへの自動離着陸・充電

  • 遠隔監視:インターネット経由で離れた場所からでも操作・映像確認可能

  • 拡張機能:スピーカーやライトを搭載し、密漁者への警告・威嚇も可能

これにより、人手を大幅に減らしながら、昼夜を問わず安定した監視体制の構築が可能になります。

実証実験の目的と概要

密漁監視の効率化と省力化を推進するため、三重県漁業協同組合連合会様および、各漁業協同組合様のご協力のもと、ドックステーションを活用した実証実験を開催しました 。


この実験では、今後の密漁監視強化を目指し、実際の密漁監視を想定した自動飛行ルートを作成し、その運用を検証しました 。



実験の流れ

  1. 自動離着陸の安定性
    ドックからの自動発進および帰還・充電の一連動作を確認

  2. 監視飛行ルートの運用
    漁場周辺に設定した自動飛行ルートを周回し、映像を記録

  3. 遠隔監視・操作
    漁協事務所から遠隔でリアルタイム映像を確認

  4. スピーカー・ライト機能の検証
    音声警告やライト照射による注意喚起をテスト

  5. AI画像解析の実験(試行段階)
    船影や人影を自動で検知し、管理者に通知する仕組みを検証

 

実験結果と今後の展望

実証実験を通じて、以下の成果と課題が明らかになりました。

~期待できる効果~

  • 人員負担を大幅に削減できる

  • 夜間や悪天候でも監視が可能

  • 遠隔から複数漁場を同時に監視できる

  • 即時に警告が可能で、抑止力が高まる

パトロールの結果、密漁とみられる行為が確認され、関係機関と連携して迅速に対応しました。
こうした事例は漁業者にとって大きな安心につながり、抑止効果を発揮しています。
ドローンの活用により「見られている」状況を常時作り出すことで、密漁防止の強力な手段となっています。

今後は、三重県内の複数漁場での導入を見据え、さらなる検証を重ねるとともに、AI解析の精度向上や広域ネットワークでの監視体制構築を目指していきます。


まとめ:密漁監視の未来へ

今回の実証実験は、「人に頼らない持続的な監視体制の第一歩」となりました。
ドローンと自動ドックを活用することで、限られた人員でも効率的に漁場を守ることが可能です。

今後も三重県漁業協同組合連合会様をはじめとする各漁協と協力し、最新技術を取り入れながら「漁業資源を守る仕組みづくり」を進めてまいります。