バックカントリーの監視・巡視にドローン活用 「DJI Dock 3」と「DJI Matrice 4TD」の雪山実証実験(株式会社JDRONE様)

2025年2月中旬に野沢温泉スキー場において、株式会社JDRONE様の協力のもと、据え置き設置型ドローン「DJI Dock 3」と赤外線カメラを搭載した「DJI Matrice 4TD」を活用した、バックカントリーエリアの監視巡視を中心とし、雪山での実証実験を行いました。

バックカントリーエリアは、天候や雪崩のリスクが高く、人の立ち入りが困難な場合が多いため、ドローンを活用することで迅速かつ安全な監視・巡視のシミュレーションを行いました。

 

バックカントリーの監視の環境・特性について

  • 積雪状況によっては雪崩が発生しやすく、人が巻き込まれる危険がある
  • 悪天候による視界不良
  • 方向感覚を失いやすく、救助が困難に遭難の危険もある
  • 目印となる人工物が少なく、自分の位置が把握しづらい

そのため、山岳地帯などの低温環境下で動作可能か、また雪などによる防水性能が問題ないかが求められます。

 

DJI Dock 3/Matrice 4TDの主なスペック

DJI Dock 3は、Matrice 4DまたはMatrice 4TDドローンを収容し、自動離着陸や充電を行う据え置き型のドローンステーションです。前モデルのDJI Dock 2と比べ、雪に強い設計となっており、Dock本体上部分が屋根のような形状になっており、雪が積もりにくい設計になっております。

※Dock 3の本体上部

これにより、極寒で大雪の恐れのある環境下でも、Dockが正常に開閉し、ドローンの運用が可能となります。

本機体は、3段階の着陸プロセスを採用しており、高精度かつ安全な着陸を実現しています。

  • RTK(リアルタイムキネマティック)測位による高精度な位置補正
  • ビジョンスラムによる周囲環境の把握
  • マーカー認識(Dock 3の四隅に設置されたマーカーを認識)による正確な誘導

これらを組み合わせ、悪天候や低視界環境下でも安定した着陸が可能となり、運用の安全性が大幅に向上しています。



Dock 3/Matrice 4TDの主なスペック・比較

 

機能 Dock 2 Dock 3
総重量 34kg(機体を除く) 55kg(機体を除く)
動作環境温度 -25℃~45℃ -30℃~50℃
保護等級 IP55 IP56
充電時間 32分 27分

※通信はスターリンクを使用しています。
※コード類は防水加工のものを使用しております。

 

  Matrice 3TD Matrice 4TD
重量 1410g 1850g
飛行時間 50分 54分
動作環境温度 -20℃~45℃ -30℃~50℃(※予熱してから使用する場合-30℃)
保護等級 IP54 IP55
陸着陸の耐風性能 8m/s 12m/s

 

カメラ性能比較

  Matrice 3TD Matrice 4TD
広角カメラ 1/2インチCMOS 48MP 1/1.3インチCMOS 48MP
ズーム3倍 - 1/1.3インチCMOS 48MP
ズーム7倍 1/2インチCMOS 12MP 1/1.5インチCMOS 48MP
赤外線 640×512
640×512
※超解像度のみ:1280×1024@30fps
ハイブリットズーム 最大56倍 最大112倍

 

雪山での課題

今回の実証実験では、DJI Dock 3とMatrice 4TDを組み合わせて、バックカントリー監視におけるドローンの運用できるかを重点的にシミュレーションしました。
従来の巡視方法ではパトロール隊員がスキーやスノーモービルを使用し、危険区域を巡回する必要がありましたが、これには時間と労力がかかり、安全性や人員不足が課題となっていました。

ドローンは自動的に離陸し、赤外線カメラを用いて侵入の監視・巡視を開始。
ドローンの導入により、広範囲を短時間でカバーし、リアルタイムでの映像確認が可能にとなりました。

まずは雪かきから行いました。

Dock 3(左)と Dock 2(右)を設置しました。

Matrice 4TDがDock 3から離陸する様子


Matrice 4TDは、赤外線カメラを搭載した産業用ドローンで、低照度環境や悪天候下での監視や捜索に適しています。高精度の赤外線センサーにより、雪山においても体温を検知し、迅速な発見・監視が可能です。


右:赤外線カメラによる写真

※この下にライトが光る様子のGIFが掲載されています。ご注意ください。

また、新たにスピーカー・ライトの搭載が可能となり、バックカントリーへの侵入者に音声やライトによる注意喚起や、救助隊への指示を遠隔で伝えることが可能になりました。

 

結果

検証の結果、雪山などの低温度環境下でも問題なく作動したことから、DJI Dock 3がバックカントリーの監視および定期点検において有効であることが確認されました。

■赤外線カメラによる高精度の熱検知機能やAI検知機能で、視界が悪い状況でも侵入者を迅速・安全に発見することが可能

点検中には実際にバックカントリーに人が入っていく様子なども確認ができました。


※この方は安全が確認できました

 

■DJI Dock 3の雪に強い設計により、積雪環境下でも確実にドローンの飛行運用が可能

以下はDock 3(左)と Dock 2(右)を一晩中設置した様子です。


■「DJI FlightHub 2」により、遠隔地からの指示・監視が可能

極寒で大雪の恐れがある環境下でもDock 3を展開でき、凍結防止コーテイングが施されたプロペラでドローンが正常に稼働します。

 

今後、さらなる実証実験を重ねることで、スキー場や山岳地帯でのドローンの活用が期待されます。

 

エンドユーザー様の声

『従来のMatrice 300では展開に時間がかかっていたが、DJI Dock 3を活用することで即時運用が可能になり、スムーズに監視・巡視ができるようになった。AI検知機能を活用すれば、自動でエリアの監視や巡視できるので、安全性が向上や人的負担の削減にもつながる。さらに、ゴンドラやリフトの早朝点検にも利用できるため、作業効率が大幅に向上すると感じた。』

協力会社紹介

株式会社JDRONE

株式会社JDRONE(https://jdrone.tokyo/)は、産業用ドローンの導入から運用までを支援するトータルソリューションプロバイダーです。2019年7月1日に設立され、本社を東京都新宿区に構えています。

無人ヘリコプターやマルチコプター、固定翼機、VTOL機などの無人航空機を活用し、空撮、測量、火山観測、分析・解析などのサービスを提供しています。
また、遠隔操縦ドローンなどの運用支援のコンサルティング事業も展開し、顧客のニーズに応じたソリューションを提供しています。

福島第一原発事故後には、無人ヘリコプターを用いた放射線量測定など、危機管理分野でも豊富な実績を持ちます。
JDRONEは、横浜、南相馬、仙台にサービス拠点を設置し、各地域でのサービス提供体制を強化。
グループ会社と連携し、ドローンを活用した社会課題の解決にも取り組んでいます。

 

一般社団法人 Japan Innovation Challenge

「一般社団法人 Japan Innovation Challenge」(https://japan-innovation-challenge.or.jp/)は全国の遭難発生時にドローン等のロボットを用いて夜間等の捜索が困難な時間帯に要救助者の捜索支援を行うことにより、一人でも助かる命を増やすこととともに、捜索・救助に携わる人の安全の確保を目的とする活動をしております。

 

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