「DJI Dock 3+DJI Matrice 4TD」水力発電ダムでのデモ飛行実験(九電ドローンサービス様・KDDIスマートドローン様協力)

2025年3月下旬に佐賀県にある九州電力の水力発電ダムにおいて、九電ドローンサービス株式会社様・KDDIスマートドローン株式会社の協力のもと、据え置き設置型ドローンDJI Dock 3とIP保護等級を備えたDJI Matrice 4TDを活用したデモ飛行実験を実施しました。

今回は初めて雨や霧の悪天候の中飛行できた事もあり、その様子をお届けします。


※現場の様子


※DJI Dock 3の設置の様子

今回の記事をKDDIスマートドローン様で動画化していただきました。



 

現場の課題

現場は広さ1,640,000㎡と広大であり、従来の巡視だと時間がかかるうえ、安全性も確保できません。DJI Dock 3およびDJI Matrice 4TDが正常に作動し、その機能を使えるのか、ダム付近の巡視を想定し、飛行実験を行いました。

DJI Dock 3 / DJI Matrice 4TDの主なスペック・比較

以下の記事にスペックの詳細を掲載しています。

→バックカントリーの監視・巡視にドローン活用 DJI Dock 3とDJI Matrice 4TDの雪山実証実験
(https://dji-info.system5.jp/blogs/enterprise/snow-backcountry-jdrone)

 

今回の飛行実験

当日は強い雨と濃霧により、予定していたダムの飛行ルートの自動航行は実施できませんでしたが、悪天候下でのドローンの性能検証という新たな視点での知見が得られました。

※霧の様子

 

準備の様子

設置準備の様子です。据え置きで使われるお客様は、初回のみ風速計やRTKモジュールを取り付ける必要がございます。

※設置の様子

※キャリブレーションの様子

ネット接続はスターリンクで行いました。IP保護等級があり雨の中でも使えるので、現場で使うには最適です。

結果

従来はダムでの巡視というのは、天候や時間帯に左右される作業が多かったですが、今回の飛行実験により計画的な運用が可能であることが証明されました。

■雨や霧のような視界が悪い状況でも安全に飛行することが可能

「DJI Dock 3」と「DJI Matrice 4TD」はどちらもIP保護等級があり、「現場で雨が降っているから」といって業務をあきらめる必要はございません。

従来のDJI Dock 2とDJI Matrice 3Dでは、大雨時に飛行すると障害物センサーが上手く作動しないことを理由に、RTH(Return to Home)機能が作動し帰還することが多かったです。今回のDJI Dock 3とDJI Matrice 4TDの組み合わせでは、離陸も問題なく行え、安定した飛行を継続できました。
これにより、天候に左右されない自動巡回・巡視の実現が期待できます。

■悪天候下でもライト・スピーカーの活用が可能

DJI Matrice 4Dシリーズには、別売のスピーカーやライトの接続が可能です。保護等級(IP55)を備えており、悪天候下でもその性能を十分に発揮します。さらにDJI FlightHub 2上でも操作することが出来ました。遠隔で操作が可能なのも、DJI Dock 2にはなかった嬉しいポイントです。

・AL1 SpotLight

霧の中でも十分な視認性を確保し、夜間や悪天候時の巡視に貢献します。またジンバルと合わせて向きを変えてくれます。


※濃霧の中でもしっかりとライトを確認できました

・AS1 Speaker

霧の中でもクリアな音声伝達が可能で、遠隔からの指示伝達や警告が可能です。

※スピーカーとライトは同時につけることが可能です

DJI Dock 3の導入により、天候が許す限り定期的な巡視を自動で実施できるようになり、巡視作業の自動化が進む見込みです。DJI Dock 3とDJI Matrice 4TDを組み合わせて運用することで、ダムの巡視において大きな改善が期待されています。

今回は霧が非常に濃かったため十分な飛行ができませんでしたが、今後の天候条件のもとでその効果を実証できることを確信しています。

作業効率の向上

  • 事前にオフィスで設定した飛行ルートに従い、短時間で広範囲の巡視が可能です。
  • 10秒クイックスタート機能により、すぐに巡視を開始できます。


  • 夜間モードや上向きカメラの搭載(DJI Matrice 4TDのみ)により、昼夜を問わず効率的な運用が可能となります。

  • DJI Matrice 4DシリーズがIP保護等級がついており、このような悪天候の中でも飛行できるのは、定期的な巡回を行いたい現場には最適です。



  • 従来より飛行時間が51分から54分、ローバッテリーRTH(Return to Home)発動のバッテリー残量が25%から15%へと延長されより長時間の飛行が可能です。

 

データの精度向上

  • 赤外線センサーは巡視においても活用できます。
    濃霧の中でも赤外線カメラで人を検知することが出来ました。



  • DJI Matrice 4DシリーズはAI検知機能も追加され、人・車・船などが「DJI FlightHub 2」上で確認出来るようになりました。
    →下記画像左下の車が認識され、「車(vehicle)」という名称は変えることも可能です。


 

九電ドローンサービス株式会社様の声

九電ドローンサービス株式会社様写真

◆DJI Matrice 4TDとDJI Dock 3で優れたと感じれた機能はどこでしょうか。
「DJI Dock 2」と比較して、「DJI Dock 3」はIP保護等級や動作環境温度の性能が向上し、過酷な環境でも利用可能になった点です。 今回のデモ飛行でも、雨天および濃霧下にも関わらず、離着陸や飛行に問題がなく、安心して飛行を見守ることができました。 他にも離陸の時間も短くなっており、緊急時の飛行にも非常に役立ちそうです。

◆導入により、どのような業務の効率化や改善か見込まれますか。
頻度も多く時間を要している巡視に対して、「DJI Dock 3」はその代替として有用であると感じました。 ドローンでは異音や異臭を検知できないという課題はあるものの、「DJI FlightHub 2」の機能を活用することで短時間かつ効率的に巡視が可能になると思います。 また、「DJI Matrice 4TD」の高性能なカメラにて詳細なデータも収集できるため、点検や調査の精度が向上し、データ管理も効率化されると思っています。

◆導入に向けて、どのような運用シナリオを想定していますか。
まずは弊社で暫く試験を行い、運用上のスキルやノウハウを培うところから始めます。 その後は九州電力の設備巡視の代替となり得るか、社外のお客様でニーズがないかを検討したいと思っています。「DJI Dock 3」は過酷な環境にも対応しているため、山奥や氷点下の環境で利用したいですね。

◆他のダムやインフラ点検の応用可能性について聞かせてください。
大きなダムや発電所の巡視、河川パトロール等でも利用可能ですね。複数ミッションを設定でき飛行時間も長いため、広大な土地や長距離の巡視点検に向いていると思います。 しかし、現状の巡視点検において人とドローンではそれぞれのメリットがあると思いますので、 まずは現状の巡視を一部代替できることを目指し、将来的には現場へ出向かずに事務所から全て運用可能なサービスを提供できるようにしていきたいです。

KDDIスマートドローン株式会社様の声

KDDIスマートドローン株式会社様写真

◆DJI Matrice 4TDとDJI Dock 3を運用で期待していたことは何でしょうか。
「DJI Matrice 4TD」のAI機能により、不審者の検知や人の動態検知が可能となり、警備や監視業務における即応性が向上することを期待していました。特に、太陽光パネルの盗難対策として、広範囲をカバーする監視が求められる場所での活用を想定していました。

◆霧や雨といった悪天候下での飛行についてはいかがでしょうか。
「DJI Matrice 4TD」と「DJI Dock 3」のIP性能が向上したことで、従来の「DJI Dock 2」と比較してより過酷な環境でも運用が可能になりました。これにより、雨天時の巡視点検業務での飛行がより安定し、悪天候による業務の中断リスクが低減されたと感じました。

◆DJI Dock 3とDJI Matrice 4TDの従来品(DJI Dock 2+DJI Matrice 3D)との違いについてはいかがでしょうか。
スピーカーとライトの搭載が可能になったことにより、緊急時の警告アナウンスや夜間や暗所での巡視点検作業、遠隔地からの音声指示といった活用の幅が広がりました。

◆今回のデモ飛行結果を踏まえ、どのような市場や用途への展開ができそうでしょうか。
「DJI Matrice 4TD」と「DJI Dock 3」の性能向上により、災害の復旧工事の進捗管理といった、よりタフな現場での活用が考えられます。

◆ドローン点検事業において、DJI Dock 3・DJI Matrice 4TDはどのようなポジションを担うと考えますか。
性能やコストを踏まえると、「DJI Dock 3」と「DJI Matrice 4TD」は、ドローン点検事業において人の代替が現実的に可能なポート型ドローンとしてのポジションを担うと考えられます。特に、定期的な自動運用が求められる現場や人が行くことが困難な場所での点検・監視、AIを活用した人物といった高い要求水準を持つ現場での活躍を期待しています。

協力会社紹介

■九電ドローンサービス株式会社

九電ドローンサービス株式会社(https://www.kyuden-drone.co.jp/)は、九州電力グループの一員として、ドローンを活用した点検・測量・空撮などのソリューションを提供する企業です。2024年4月に設立され、本社を福岡県福岡市に構えています。

電力会社として培ってきたスキルやノウハウ等の知見を活かし、お客様へ安全・安心なサービスを提供しています。

また、ロボットやAI解析を用いた新たな点検サービスや、自社開発のソフトウェアの提供も行っており、企業や自治体向けに最適なソリューションを提案しています。

九電ドローンサービス株式会社は、優れたドローン・ロボット技術をもとに、チャレンジと情熱で地域社会の課題を解決し、ワクワクするような未来を創っていきます。


■KDDIスマートドローン株式会社

KDDIスマートドローン株式会社(https://kddi.smartdrone.co.jp/)は、2022年4月よりドローン事業を開始し、東京都千代田区に本社を構えています。

上空電波(4G LTE)を用いたドローンの制御により、安全な遠隔飛行・長距離飛行を実現するサービスの構築を行っています。

ドローンによる新たなビジネスの実現や、点検・監視・測量・物流・農業などのさまざまな分野におけるお客さまのニーズに即した機動的なサービスの提供に取り組んでいます。

様々な企業や自治体の皆様と連携し、実証実験や導入支援を通じて、ドローンの社会実装を進め、多くの社会課題の解決に取り組んでいきます。

 



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