クマ出没時の初動確認をドローンで迅速化|DJI Dock 3活用モデル

※DJI Dock 3による遠隔飛行映像を、DJI FlightHub 2上で関係者の皆様にご覧いただき、クマ対策における遠隔確認の活用イメージを共有しました。

近年、全国各地でクマの出没や人身被害が相次ぎ、自治体や関係機関では、通報後の初動対応や現地確認の体制づくりが重要な課題となっています。

特に、目撃情報が寄せられても、現場に向かうまでの間にクマが移動してしまうことがあります。また、夜間や山間部での確認には危険を伴い、職員・警察・猟友会など、関係者の負担も大きくなります。

今回、システムファイブは、秋田県秋田市で実施されたクマ対策訓練に参加し、現地で行われているクマ対策の取り組みや、ドローンの活用状況についてお話を伺いました。

本記事では、秋田県内で実際に進められているドローンによるクマ探索の取り組みと、現地で見えてきた課題を整理しながら、DJI Dock 3DJI FlightHub 2を活用した初動確認モデルの可能性をご紹介します。

 


1. 秋田市のクマ対策訓練に参加しました

今回の訓練には、秋田市役所・猟友会・秋田県警など、クマ対策に関わる関係者の皆様が参加されました。

訓練では、クマ出没時の対応や、現場での安全確保、関係機関との情報共有など、実際の初動対応を想定した確認が行われました。

システムファイブは、秋田太平ドローンスクール様のご協力のもと、訓練の場でDJI FlightHub 2およびDJI Dock 3による遠隔飛行デモを実施しました。

現地でクマ対策に携わる方々のお話を伺う中で見えてきたのは、すでに赤外線ドローンの活用が進んでいる一方で、現地出動・夜間対応・情報共有には依然として大きな負担があるということでした。

※秋田市役所、猟友会、秋田県警など、クマ対策に関わる関係者が参加した防災訓練の様子。現地では、クマ出没時の対応や関係機関の連携について確認が行われました。

2. 秋田県で進む、赤外線ドローンによるクマ探索

秋田県では、すでに赤外線カメラを搭載したドローンを活用したクマ探索の取り組みが進められています。

その中でも、秋田太平ドローンスクール様では、赤外線ドローンを活用したクマ探索サービスに取り組まれています。人里付近でのクマ出没が課題となる中、上空から赤外線映像を確認することで、目視では確認しづらい場所の状況把握や、関係機関への情報提供に役立てられています。

 

 

※秋田太平ドローンスクール様では、赤外線カメラ搭載ドローン(Matrice 400 / Zenmuse H30T)を活用し、クマ探索や関係機関への情報提供に取り組まれています。

出典:秋田太平ドローンスクール様 Instagram投稿

現場で活用されているのは、Matrice 400Zenmuse H30Tです。赤外線映像を確認することで、夜間や茂みの中など、通常の目視確認が難しい場面でも、周辺状況を把握しやすくなります。

一方で、現状の運用では、出没情報を受けた後にパイロットが機体を持って現地へ向かい、現場でドローンを飛行させて確認する流れが中心となります。

つまり、赤外線ドローンは非常に有効な手段でありながら、運用にはどうしても「人が現場へ向かう時間」「現地で飛ばすための体制」が必要になります。

3. 現在のクマ探索フローと、現場で見えている課題

現在のクマ探索では、まず通報や目撃情報、投稿情報などをもとに、関係機関が状況を確認します。そのうえで、必要に応じてドローン運用側へ出動依頼が行われ、パイロットが機材を持って現地へ移動します。現地到着後、赤外線カメラ搭載ドローンで周辺を探索し、映像や位置情報を関係者へ共有します。

このフローで見えてくる課題は、主に「初動対応までの時間」「情報の正確性」「人員確保」の3点です。

クマは移動するため、目撃情報が入った場所に向かっても、到着時にはすでに別の場所へ移動している可能性があります。

また、箱罠の設置や警戒範囲の設定においても、クマが実際にどのルートを通っているのかを把握することが重要になります。文字情報や目撃地点だけでは、現場の状況を関係機関で正確に共有することが難しい場面もあります。

図1:現在のクマ探索フロー。出没情報や目撃情報を受け、関係機関が確認したうえで、必要に応じてパイロットが現地へ向かい、赤外線ドローンで周辺を確認する流れが中心となっています。

4. 現地の声:ドローン運用側と自治体側、それぞれの視点

今回の訓練では、実際にクマ探索に取り組まれているドローン運用側と、クマ出没情報を受けて対応を行う自治体側、それぞれの立場からお話を伺いました。

※以下の内容は、当日の取材内容をもとに、読みやすいよう一部表現を整えています。

秋田太平ドローンスクール様の声

◆現在、クマ探索ではどのようにドローンを活用されていますか?

赤外線カメラを搭載したドローンを使って、クマの探索を行っています。Matriceシリーズの機体と赤外線カメラを活用し、現場でドローンを飛ばして、赤外線映像を確認しながらクマを探しています。

ドローンのAIによるクマ検知のような機能もありますが、現時点では精度面で課題もあるため、基本的には赤外線カメラの映像を確認しながら探索しています。

◆現在の運用で課題に感じていることはありますか?

現状では、パイロットが現地へ向かい、現場でドローンを飛ばして確認する必要があります。

昼間であれば対応しやすい場面もありますが、夜間に通報があった場合や、人員が限られている場合には、現地へ向かうこと自体が負担になります。

遠隔で、かつ自動的に確認できるような仕組みがあれば、非常に有効だと感じています。

◆クマを発見した場合は、どのように情報共有されていますか?

クマを見つけた場合は、秋田市役所など関係機関へ連絡し、状況を共有しています。

また、秋田市役所側からクマ発見の連絡が入り、そこから出動することもあります。こうした連携を、よりスムーズにしていきたいという思いがあります。

◆Dock 3のような遠隔運用システムには、どのような期待がありますか?

現地に毎回パイロットが向かわなくても、遠隔で確認できるのであれば大きなメリットがあります。

特に夜間対応や人手不足の面では、Dockのような設置型のドローンシステムで解決できる部分があると思います。

将来的には、クマの出没が多い地域に複数台設置し、秋田市役所向けにも提案していける可能性があると感じています。

秋田市役所様の声

◆クマ出没時の情報は、どのように確認されていますか?

クマの目撃情報や通報をもとに、関係機関で状況を確認しています。また、秋田県が運用するクマ出没情報共有システム「クマダス」のようなクマ出没情報を確認できる仕組みも活用されています。

一方で、情報が入っても、実際にその場所にクマがまだいるのか、どの方向へ移動したのかまでは分からない場面があります。

◆目撃情報だけで対応する難しさはありますか?

目撃情報があっても、実際に現場へ向かった時点でクマが移動していることがあります。

職員や警察が周辺を確認しても見つからない場合もあり、文字情報や位置情報だけでは、正確な状況把握が難しいと感じる場面があります。

◆クマの移動ルートを把握する必要性はありますか?

箱罠を設置しても、クマの通り道と合っていなければ捕獲につながりません。

そのため、クマが実際にどのルートを通っているのか、どこから出てきているのかを確認することは重要です。

◆ドローン映像や位置情報が共有できると、どのような場面で役立ちそうですか?

ドローンの映像と位置情報がリアルタイムで確認できれば、現場の状況を関係機関で共有しやすくなります。

初動対応や警戒範囲の判断、猟友会や警察との連携にも役立つ可能性があります。

5. DJI Dock 3で、現地出動前の初動確認を遠隔化する

こうした現場の課題に対して、システムファイブが活用可能性を感じたのが、DJI Dock 3DJI FlightHub 2を組み合わせた遠隔運用です。

DJI Dock 3は、対応機体の離着陸、保管、充電、遠隔運用を行うための設置型ドローンポートです。対応する機体をDock内に待機させておくことで、現地にパイロットが向かわなくても、遠隔から確認飛行を開始し、上空から周辺状況を確認する運用が可能になります。

今回の訓練では、実際にDJI FlightHub 2を用いてDock 3による遠隔飛行デモを行い、関係者の皆様にリアルタイム映像をご覧いただきました。

※DJI Dock 3は、対応機体の離着陸・充電・遠隔運用を行うための設置型ドローンポートです。遠隔地に設置することで、現地へパイロットが行かずとも、周辺状況の確認を行う運用が考えられます。

※訓練会場では、DJI FlightHub 2を通じてDock 3の遠隔飛行映像を確認いただき、クマ出没時の初動確認における活用イメージを共有しました。

Dock 3の価値は、単に遠隔でドローンを飛ばせるだけではありません。

重要なのは、出没情報を受けてから現地の状況を確認するまでの時間を短縮し、関係機関が同じ映像・位置情報をもとに判断しやすくなることです。

特に、夜間や山間部など、人がすぐに現地へ向かうことが難しい場面では、まず遠隔から状況を確認できることが、初動対応の支援につながる可能性があります。

6. クマ出没情報から初動確認へつなげる運用モデル

従来のクマ探索では、出没情報を受けてから関係機関が確認し、必要に応じてドローン運用側へ出動を依頼し、パイロットが機材を持って現地へ向かう流れが中心でした。

この流れでは、現地到着までに時間がかかるため、クマが移動してしまう可能性があります。また、夜間や人員が限られた状況では、現地出動そのものが大きな負担になります。

一方で、Dock 3をあらかじめ設置しておけば、出没情報を受けた後、近隣のDockから機体を速やかに出動させ、目撃地点周辺を遠隔から確認することができます。

さらに、DJI FlightHub 2を活用することで、飛行中の映像や位置情報を関係機関でリアルタイムで共有できるので、自治体・警察・猟友会などが同じ情報をもとに初動判断を行いやすくなります。

図2:従来のクマ探索フローと、Dock 3活用後の初動確認モデル。Dock 3とFlightHub 2を活用することで、出没情報を起点に、遠隔から目撃地点周辺の状況確認や映像・位置情報の共有を行う運用モデルが考えられます。

上図では、インタビューでもあったクマダスのようなクマ出没情報共有の仕組みや、通報、目撃情報、センサー通知など、外部から得られる情報をトリガーとして、Dock 3による飛行へつなげる運用モデルとして紹介しています。

実運用では、飛行可否判断、安全確認、関係機関との運用ルール、プライバシーへの配慮などを踏まえた設計が必要です。

7. FlightHub 2のワークフロー機能との組み合わせ

ここでは、上記の運用モデルを技術的に支えるFlightHub 2側の機能について、概要のみ紹介します。
DJI FlightHub 2には、外部情報を起点にしたワークフロー機能や、飛行中の映像・位置情報を関係者に共有するための機能があります。

これらを組み合わせることで、たとえば次のような運用モデルが考えられます。

  1. クマの出没情報や通報が入る
  2. 位置情報をもとに、近隣のDock 3に格納されたドローンが現場へ飛行する
  3. FlightHub 2上で現地の映像・位置情報をリアルタイムで関係機関へ共有する
  4. 自治体・警察・猟友会などが同じ情報をもとに初動判断を行う

設定方法や技術的な詳細については、以下の記事で詳しく紹介しています。

DJI FlightHub 2 徹底解説:オートメーション/トリガーされたワークフロー

また、事前に設定したルート飛行や赤外線カメラによる温度しきい値検知などを組み合わせることで、継続的な自動監視や自動通知にも発展できる可能性があります。

DJI FlightHub 2 徹底解説:飛行ルート作成/AIインテリジェントルート

本記事では詳細な設定手順には踏み込みませんが、クマ対策のように「情報を受けて、できるだけ早く現地の状況を確認したい」場面では、Dock 3とFlightHub 2の組み合わせが有効な選択肢になり得ます。

8. まとめ:現地の取り組みを、より早い初動確認へ

今回の秋田市でのクマ対策訓練を通じて、現地ではすでに赤外線ドローンを活用したクマ探索が行われていること、そして関係機関が連携しながら、クマ出没時の対応に取り組まれていることが分かりました。

一方で、目撃情報だけでは正確な位置把握が難しいこと、現地出動までに時間がかかること、夜間対応や人員確保の負担が大きいことなど、現場ならではの課題も見えてきました。

DJI Dock 3とDJI FlightHub 2を活用することで、こうした課題に対して、現地に人が到着する前に遠隔から周辺状況を確認し、映像・位置情報を関係機関で共有する運用モデルが考えられます。

もちろん、実際の運用には、飛行ルール、安全確認、関係機関との連携体制、設置場所の検討などが必要です。

それでも、クマ出没時の初動確認をより早く、より安全に行うための選択肢として、設置型ドローンポートであるDJI Dock 3には大きな可能性があります。

システムファイブでは、DJI Dock 3やDJI FlightHub 2を活用した遠隔運用をはじめ、自治体・警備・防災分野でのドローン活用について、導入に向けたご相談や活用方法のご提案を承っています。

クマ対策や災害対応、施設警備などで、遠隔ドローン運用の活用をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。





「もう少し商品について知りたい!」
「自分の業務にもドローンを活用できる?」

どんなご相談でも構いません!お気軽に下記のフォームにてお問い合わせください!
導入のご提案やお見積は、貴社の所在地に近い販売代理店より改めてご連絡します。

お問合せフォーム