ソーラーパネルによるDJI Dock 3運用検証レポート

以前弊社が作成した「DJI初の車載可能な移動ドック、DJI Dock 3で車載モードを試してみました!」という記事で、DJI Dock 3を車載モードで運用する際にポータブル電源「DJI Power 2000」を組み合わせる方法について簡単に紹介しました。
今回はその内容をより深掘りし、実際のデータをもとにどこまで安定運用が可能なのかを検証しました。
■この記事の紹介ショート動画はこちら!
1. 検証目的
DJI Dock 3の運用には、電源設備およびネットワーク環境が必須となります。
現場にこれらの設備がない場合でも、ネットワーク環境はポケットWi-Fi、DJI Dongle 2、Starlinkなどを活用することで、継続的に確保可能です。
一方で、電源環境は発電機やポータブル電源を使用しても、継続的な運用は困難であり、課題となっています。
本検証では、ソーラーパネルによる給電でDJI Dock 3を稼働・運用できるかを確認することを目的として実施しました。
DJI Power 2000に、Zignes 120Wソーラーパネル×1およびLINKSOLAR 200Wフレキシブルソーラーパネル×1を接続し、日中の発電量とDJI Dock 3稼働時の消費電力のバランスを観察しました。

2. 検証概要

以下に検証の概要をまとめました。
| 項目 | 内容 |
| 検証日 | 晴天日(1日間) |
| 検証時間 | 10:00〜16:00 |
| 使用機材 |
DJI Dock 3、Power 2000、Zignes 120W ソーラーパネル×1、IBCPOWER 200 W折りたたみ式ソーラーパネル×1 |
| 天候 | 午前:快晴/午後:一時的に雲あり |
| Dock運用 | 1日で10回(5~10分程度)の飛行を実施 |
| 設置条件 | 平置き(角度一定) |
▼今回の検証で使用した製品はこちら
|
大容量ポータブル電源 |
折り畳み型ソーラーパネル 「DJI Zignes 120W ソーラーパネル DY0003」 |
折り畳み型ソーラーパネル 「DJI DY0020 IBCPOWER 200 W折りたたみ式ソーラーパネル」 |
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■MPPTモジュール取り付けについて(DJI Powerシリーズ用)
ポータブル電源本体には、最大で2つのアダプターモジュールを接続可能です。
各アダプターモジュールには、最大3枚までのソーラーパネルを接続できます。
そのため、本体に2つのアダプターモジュールを取り付けることで、
最大6枚のソーラーパネルを接続することが可能です。
※1つのMPPTモジュールに接続するソーラーパネルは最大3枚で合計出力電力は400 W以下になるようにしてください。


準備するもの
● DJI ポータブル電源本体
● DJI Powerソーラーパネル アダプターモジュール(MPPT)
● 対応するソーラーパネル
○ Zignes 120W ソーラーパネル
○ LINKSOLAR 200 Wフレキシブルソーラーパネル
○ IBCPOWER 200 W折りたたみ式ソーラーパネル
● ケーブル類(製品に同梱のもの)
同梱品の確認
同梱品がそろっているか確認してください。
● DJI Powerソーラーパネル アダプターモジュール(MPPT)
○ DJI Power ソーラーパネル アダプターモジュール (MPPT) × 1
○ 放熱ブラケット(金属製)× 2
○ 六角棒スパナ(ボールポイント型)× 1
○ 10 mmねじ × 3
○ 20 mmねじ × 3

● ソーラーパネル
○ Zignes 120W ソーラーパネル
■ Zignes 120W ソーラーパネル
※ケーブルはソーラーパネル本体に取り付けられてます。
○ LINKSOLAR 200 Wフレキシブルソーラーパネル
■ ソーラーパネル×1
■ MC4 - XT60 ケーブル×1
○ IBCPOWER 200 W折りたたみ式ソーラーパネル
■ ソーラーパネル×1
■ MC4 - XT60 ケーブル×1
■ MC4延長ケーブル(0.9 m)×2
取り付けの手順
1. 放熱ブラケットをポータブル電源本体へ取り付け
同梱のねじ(10㎜)を使用して放熱ブラケットを取り付けます。
※取り付け位置については下記(図1)をご参照ください。
(図1)

↓
使用する同梱品
放熱ブラケット×2
10 mmねじ ×2
六角棒スパナ ✦ねじ締めにご活用ください。

2. アダプターモジュールを取り付け
同梱のねじ(20㎜)を使用してアダプターモジュールを取り付けます。
※取り付け位置については上記(図1)をご参照ください。
↓
使用する同梱品
アダプターモジュール (MPPT) ×1
20 mmねじ ×2
六角棒スパナ ✦ねじ締めにご活用ください.。
3. SDCポートを使用してアダプターモジュールと本体を接続
差し込み口に挿入してください。
少し硬いので押し込むような形になります。

4. ソーラーパネルと接続
アダプタモジュールとソーラーパネルを接続します。
接続にはソーラーパネルに同梱または備え付けのケーブルを使用してください。


3. 電力データ(実測値)

以下に電力データの概要をまとめました。
| 区分 | 測定値・状況 | 備考 |
|---|---|---|
| Power 2000残量変化 | 80% → 46%(約6時間運用) | ソーラー給電込み |
| 最高ソーラー入力 | 約124W(昼頃)/約54V | 快晴時・日射角良好 |
| 最低ソーラー入力 | 約40W(夕方) | 日照角低下 |
| Dock最高出力 | 約550W(飛行後機体充電+ヒーター稼働時) | 高負荷状態 |
| Dock最低出力 | 約75W(アイドリング時) | 待機状態 |
4. 検証結果概要

図1 : 照度[lx]と DJI Power 2000のバッテリー残量[%]の推移
図1は9:30~16:00の期間での照度[lx]とDJI Power 2000のバッテリー残量[%]の推移とDJI Dock 3/DJI Matrice 4TDの飛行を行ったタイミングをまとめた表です。
-
午前中(10:00〜12:00)は安定した給電が確認され、DJI Dock 3のアイドル状態であればDJI Power 2000残量はゆるやかに減少していきました。
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昼過ぎ(12:00〜14:00)以降は雲が出始め、最大照度も30000lxまでとなり、発電量が変動しました。
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夕方(16:00頃)には太陽高度が下がり、ソーラー入力は実質0Wまで低下しました。
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飛行後の機体の充電やDJI Dock 3のエアコンが作動しているタイミングは出力電力が大幅に増加し、DJI Power 2000のバッテリーが急激に減少しました。
- 一日の運用でバッテリー残量は約34%減少しました。Dock稼働に必要な電力のうち、ソーラー給電が一部を補っている形となりました。

5. 考察
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快晴時の発電入力(124W)は、Dockの待機電力(約75W)を十分にカバーしており、日中の維持運用は可能と考えられました。
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ただしDockの高負荷動作(飛行後充電+ヒーター稼働)では最大550W消費が発生し、発電量を大幅に上回りました。
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午後の曇天・日照角低下時には入力が40Wまで低下し、給電不足によりDJI Power 2000のバッテリー消耗が進行しました。
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現状構成(120W+200Wパネル計320W定格)では、晴天時でも平均発電量は100〜120W程度であり、DJI Dock 3完全自立運用には発電容量の増設が必要と考えられる。
6. まとめ
今回の検証では、「DJI Power 2000+120W/200Wソーラーパネル構成」でDJI Dock 3を約6時間稼働させ、その発電量と消費電力のバランスを確認しました。
晴天時にはDJI Dock 3の待機電力を十分に補える発電が得られ、単発の運用であれば今回の構成でも問題なく稼働できることが確認できました。
一方で、飛行後の機体充電やDock内部の冷暖房稼働のタイミングでは消費電力が大きく増加し、ソーラー入力のみでは補えない場面も見られ、長期的な運用を行うには発電容量の増強が必要だと分かりました。
今回は単発運用を前提とした検証でしたが、より長期的な運用や安定した継続稼働を検討されている方は、DJI Dockに関する知見が豊富な合同会社SORABOT様の記事がとても参考になります。具体的な運用方法や実例を詳しく紹介されていますので、あわせてご覧ください。
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